スグ先輩こと田所優(すぐる)先輩と知り合ったのは高校の水泳部。

 彼はバタフライの選手で、わたしはマネージャー。

 選手でもないし、メインの仕事は女子部員の世話だったので、同じ部活とはいえ、県大会常連のスター選手、スグ先輩と会話を交わすことなんて、めったになかった。

 だからあの日は本当に、ごくごく、まれな機会だった。

 7月の日曜日。

 記録会で県立プールを訪れた帰り道でのこと。

 わたしたちの学校から3駅ほど離れたその町の、駅の近くの神社で夏祭りをやっていた。

 提灯や夜店の明かりがともり、薄暗くなった周囲から神社だけ浮き上がって見えた。