失恋したとはいえ、その後ももちろん、バイトは続けていた。

 先輩は店に住んでいるわけではないので、毎日顔を合わせるわけでもなかったし。

 もう働きはじめて1年以上経っていたので、ひととおりの仕事はこなせるようになっていたし。

 最近では、将来、自分の店が持ちたいと、かなり真剣に考えはじめていた。

 それほど、花屋という仕事に魅力を感じていた。

 アレンジを工夫して花束を作り、それを渡すとき、どのお客さんもとてもいい表情をされる。

 喜ばしい贈物のときはもちろんだけれど、病気の人を案じる顔や亡くなった人を偲ぶ顔もしみじみとして美しい。

 表情に、願いや祈りの気持ちが現れているからだろう。

 人のもっとも素敵な瞬間に立ち会える、素晴らしい仕事。

 ずっと、続けていきたい。

 そう思っていた。