センチメンタル・ジャーニー Ⅱ ~俺が本当に守りたい人
5

葉月と 付き合い始めて しばらくすると

カンナからの電話は 頻繁になった。


「カンナさんと奏斗って 随分 仲が良いね。」

葉月の前で 俺は 何度も 電話に出た。


「そうかな…昔 少し 付き合っていたから。」

「えっ?元カノなの?」


葉月は 驚いたような 呆れたような目で 俺を見た。


「高校生の頃だよ。もう ずっと前のことだから。今は 何でもないよ?」

「うん…元カノと 今も 普通に 付き合っているの?」


葉月の思いは 当然のことだったのに。


葉月は いつも安定していて。

俺は 安心して 寛ぐことができた。


もし葉月に カンナのことを 話しても

葉月なら 受け止めてくれたかもしれない…


でも 俺が 言えなかったから…


「奏斗は 私が 元カレと 連絡取っていても 平気?嫌じゃない?」

もし カンナが ただの元カノなら…


俺だって 葉月が 元カレと 友達だって言ったら

すごく 嫌な気持ちに なったはずなのに。


葉月は 真っ直ぐに 俺と向き合ってくれたのに。

俺は 葉月に 話すことが できなかった。







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