センチメンタル・ジャーニー Ⅱ ~俺が本当に守りたい人
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入口の外の 空が 暗くなって

ドアが 開くたびに 水音が響く。


視界を 遮るほどの 激しい雨が 降ってきた。


葉月は 傘を持っているのかな…

この雨じゃ 傘は 役に立たないけど。


ぼんやり ドアの向こうを 眺めていると

車寄せに 1台の 車が停まる。


車を降りて ドアマンに 会釈する葉月。


俺は ソファから 立ち上がって 駆け出していた。


「葉月。」

恥ずかしさも 忘れて 名前を呼ぶと

葉月は 立ち止って 辺りを見回す。


「葉月…」

葉月が 俺に気付いた時 

俺は もう葉月に たどり着いていた。


「奏斗…」

驚いた顔で 俺を見つめる葉月を

俺は 夢中で 抱き締めた。


「葉月…よかった。会えて…無事で 良かった…」

俺は 流れる涙を 止めることなんか できなくて。


今 腕の中に 葉月がいる実感に 震えながら。

「葉月…心配したんだ…葉月。」

言葉は 嗚咽に 変わってしまい。


葉月の存在を 確認するように

夢中で 葉月を 抱き締めていた。






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