強引な無気力男子と女王子
 女子は「遅れるの承知で人助けなんてすごいよね」「私もW王子見たかった‥‥‥」「先輩いーなー」などと勝手なことを言っている。
 一方男子は。
 「柳井は特別かよ」
 「ずり〜」
 「いい子ぶりやがって」
 「女のなのに女好きなクソビッチのくせに」
 ヒソヒソ、ヒソヒソと悪口を言っている。
 日葵曰く、女なのに男より女にモテるから“嫉妬”してるんだそうだ。
 こういうことには慣れてるから反応しないけど、やっぱり気分のいい物ではない。
 おまけに何人かは小さくなった消しゴムやクシャクシャに丸めた紙の切れ端などを投げてくる。
 先生は黒板に向かって文字を書いていて気づいてない。
 まあ高一にもなって先生にチクるなんて事はしないけど。
 丸められた紙を広げて見ると『ビッチ』『偽善者』『いい子ちゃんですねwww』などと書かれている。
 私は何も言わずにその紙を制服のポケットに突っ込む。
 こういうのは反応するだけ無駄だ。
 極めて無表情に努める。
 そんな私の態度がつまらなくなったのか、しばらくすると何も飛んでこなくなった。
 こんな事しか出来ないなんてバッカみたい。
 私に嫉妬してる暇があるなら少しでも女子に男として見られるように努力したらいいのに。
 それか直接文句を言いに来るか。
 陰口しか言えないなんてガキかよ。
 自分がモテないからって私に八つ当たりするのはやめろよ。
 それからはもう男子も何もしてこなかったので、私も集中して授業に取り組むことができた。
< 14 / 107 >

この作品をシェア

pagetop