強引な無気力男子と女王子
 「お前、そんな細い腕してんのに、人とか投げれんのかー」
 感心したような、少しおちょくるような龍羽の言葉。
 「龍羽も投げてあげようか?」
 「それは勘弁」
 「よろしい」
 私がそう言うとまた龍羽はにかっと笑う。
 実はこんな会話してるけど、龍羽は最年長の21歳なんだよね。
 そんな年齢差を感じさせないのはきっと龍羽の才能だろう。
 ちなみに年齢は、高いほうから龍羽21歳、連音さん20歳、一さん20歳、棗さん20歳、香くん18歳、千晴くん17歳、私16歳、そして瀬戸悠理16歳と、なんだかんだで私と瀬戸悠理が最年少。
 意外と年齢層は低い。
 ‥‥‥どうやって連音さんはこんな高層マンションを借りたんだ。
 ご実家が金持ちなのかな?
 っと、どうでもいいことは置いといて。
 「龍羽、他の人達は?」
 今この部屋に居るのは私と龍羽の2人。
 あとの人達はどこにいるんだ?
 「連音はカメラのチェック。一はその手伝い。棗は今日用事。香と千晴は買い出し。悠理は寝てる」
 「ふーん‥‥‥」
 瀬戸悠理は寝てるのか。
 まあ、この前の事もあって会いたくなかったからちょうどいいけど。
 カメラのチェック、私も手伝おうかな。
 「龍羽、写真とる部屋ってどこ?」
 「手伝いに行ってくれんのか?まあ、あそこにはもう一が行ってるからもうすぐ終わると思うけど。んじゃ、悠理起こしてきてくんね?」
 ん?
 今何と?
 ンジャ、ユウリオコシテキテクンネ?
 「龍羽、one more time?」
 どうか幻聴であれ!!
 「え?悠理起こしてきてくんね?」
 若干不思議そうな顔をして龍羽が答える。
 ‥‥‥聞き間違いじゃなかった。
 え、ホントに?
 冗談だよね?
 そんな私に追い討ちをかけるように龍羽はご丁寧に
 「寝室、その部屋だから。前一回来たから分かってると思うけど」
 と、寝室の場所まで教えてくれた。
 
 「もー、起きてよ‥‥‥」
 結局、私は瀬戸悠理を起こしにいく羽目になった。
 全然起きないんだけど。
 ホントに。
 あーなんか無性にイライラして来た。
 「早く起きなさいよ!」
 バチイィン!
 イライラをぶつけるように瀬戸悠理の頬を思いっきりビンタする。
 意外といい音。
 「ん、んん〜〜〜」
 瀬戸悠理の寝言が耳に届く。
 マジか、今のでも起きないのか。
 はあ、と溜め息をついた瞬間。
 
 
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