強引な無気力男子と女王子
第六章

夏休みは、海で撮影!?

 「はぁ、気が重い・・・」
 「真紘、写真カッコよかったよ!」
 「ああ、日葵も見に行ったの・・・?」
 「写真展には行けてなくて、ホームページで見ただけだけど、今日駿樹と行ってくるつもり!真紘を見に行くって理由なら駿樹も許してくれると思うし!」
 私がこんなにため息をついてる理由。
 ついに、ついについに私の写真が昨日始まったReoの写真展に出されたんだ。
 しかも「新顔だから」という理由で特設コーナーまで作られて。
 Reoは女子高生にも人気の写真家。
 当然、うちの学校からも見に行った人はいるだろう。
 見に行ってなくても、Reoのホームページをチェックして、「マコト」としてホームページに載ってる私の写真を見た人は少なくないはずだ。
 事実、昨日日葵とショッピングモールで遊んでいた時も「あ、あの!マコトさんですか!隣の女の子は彼女さんですか!?可愛いですね!握手とかってしてもらってもよろしいでしょうか!?」と女の子に声をかけられたばかりなのだ。
 どうやら、完全に男だと思ってるみたいだった。
 日葵が彼女になってるし。
 王子様の外面で、完璧に対応したけど。
 この調子じゃ、学校でもすでに噂にはなってるだろうなぁ・・・。
 悠理のお披露目写真展のあとのときもその話題で持ちきりだったし。
 
 憂鬱な気分のまま教室に入る。
 もちろん、そんな表情は微塵も出さないけど。
 「真紘くん!Reoのモデルやってるの!」
 「すごい!」
 「写真カッコよかったよ!」
 「悠理君とペア組んでるってホント!?」
 「W王子・・・尊すぎて死にそう・・・」
 「柳井!お前ってすげーなー!!」
 案の定というか、私が扉を開いたらクラスメイトが物凄い勢いで寄ってくる。
 女子も、男子も。
 男子は基本、私のことをよく思ってないのだろうけど、流石にモデルとなると話は違うのだろう。
 寄ってこない男子も興味津々といった様子だ。
 いちいち相手するのもなんだかめんどくさくて、「マコト」が女子という事だけ他校の生徒に漏らしたりしないでほしいという事だけ伝えた。
 これは、連音さんの指示なんだけど。
 基本、Reoは男性モデルを撮る写真家らしい。
 実際、連音さんも私を男子だと思ってスカウトしたみたいだしね。
 女子を撮ってもいいんだけど、連音さんは一応、男性専門として一貫して活動しているから、私も男のモデルとして公式には発表したんだって。
 クラスメイトにもその旨を伝える。
 部活所属者も多いし、そのうち、いや今日中には全校に私からの願いは届くだろう。
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