強引な無気力男子と女王子

モデル達

 Reoさんに連れてこられたのは、大きな高層マンションだった。
 ずっと見上げていると首が痛くなりそう。
 「あの、ここは‥‥‥」
「ここは写真撮るスタジオにする部屋を借りてるマンションだよ」
へぇぇ‥‥‥。
 写真家は儲かるんだな‥‥‥。
 ピ、とReoさんが暗証番号を入力するとドアが自動で開く。
 かなり高級なマンション‥‥‥。
 「入らないの?」
「えっ‥‥‥」
「何?入らないの?」
逆に入るの?
 きょとん、としているであろう私の顔を見てReoさんもきょとん、とする。
 「何の為に連れて来たと思ってるの?」
「何の為でしょう?」
そんなの、私が知るわけないじゃないか。
 「今日は君を新人としてモデルのみんなに紹介するんだよ」
 えぇ‥‥‥。
 いきなり先輩達とご対面か‥‥‥。
 「今日は皆さんいらっしゃるんですか?」
素直な質問をする。
 「うん、今日はもともと撮影する予定だったし」
「そうですか‥‥‥」
 そう言ってReoさんはドアの向こうに歩いて行く。
 私も慌ててReoさんの後ろについて行った。
 
 「ここが部屋ね。メンバーには全員に合鍵渡すから溜まり場としても使ってくれていいから。合鍵は後で渡すから」
「はあ‥‥‥」
まさかの最上階がスタジオという事実に開いた口が塞がらない私は間抜けな返事しか出来ない。
 金持ちすぎない?
 言っちゃ悪いけど写真家ってこんなに儲かる仕事だったけ‥‥‥?
 呆然としてる私を尻目に、Reoさんはピ、とカード状の鍵でドアを開ける。
 ホテルかよ‥‥‥。
 「どうぞ」
「お邪魔しまーす‥‥‥」
おそるおそる中に足を踏み入れる。
 玄関も広いな‥‥‥。
 男物の靴が何足か置いてある。
 「ただいま〜!」
ああ、緊張してきた‥‥‥!
 ずーんと気持ちが重くなる。
 ガラガラガラッとReoさんが勢いよくリビングのスライドドアを開ける。
 「おかえりー」
 「遅くない?コンビニでアイス買うのに何十分かかんの?コンビニそんな混んでた?」
声は聞こえるけど、Reoさんの影になって私からは姿が見えないし、多分向こうからも見えてない。
 このバレてない内に帰りたい‥‥‥。
 「あ、アイス買って来るの忘れてた」
「はあ?何しに行ったんだよ」
 「今僕がやってる写真展見に行ってたんだよ」
 「何のために出て行ったんだっけ(笑)」
本当だよ。
 アイス買って帰ってくれてたら私と遭遇することもなかったのに。
 何で写真展に行こうと思ったんだよ。
 「あ、でも写真展で新しいモデル見つけてきたよ」
「マジ!?」
この流れは‥‥‥。
 すると急にReoさんが滑らかな動作で体を右側にずらした。
 そのせいで隠れていた私が現れる。
 途端に視線はReoさんから私へと移る。
 あんまこの感じは好きじゃない。
 「おぉー!イケメンじゃん!」
「ロン毛の子は初めてだね」
唯一私の中で、女子に見えるかもしれない私の髪の毛を指差して言う。
 ‥‥‥これから男として生きることにしようかな。
 「ほら、自己紹介」
Reoさんが軽くポンッと私を叩いて自己紹介を促す。
 「柳井真紘です。よろしくお願いします」
 そう言ってぺこりと頭を下げれば、何人かが拍手をしてくれる。
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