強引な無気力男子と女王子
 私は、この中だったらお化け屋敷かなぁ・・・。
 一番楽しそうだし。
 特に何か発言するでもなく、ボーっと黒板の文字を見る。
 そう、この瞬間までは私は平和だったのだ。
 一人の女の子が「はいはーい!」と手を挙げる。
 当然、クラス委員である山本君はその女子をあてる。
 そして、その女子はこう言う。
 「男女逆転コスプレ喫茶がいいです!みんなもそうだよね!?」
 「・・・は?」
 そしてこっちを向いた女子とバッチリ目が合う。
 まさか・・・。
 「私は、真紘くんの吸血鬼のコスプレが見たい!」
 やっぱりそうなるよね!?
 その女の子を筆頭にクラスの女子たちは口々に「私は、執事かな!」「狼男!」「いや、ここはちょっとワルな真紘くんが見たいから不良の特攻服!」「白馬の王子様とか!」「天才か!?」「誰か馬連れてきて!」「白い馬ね!」と勝手なことを言い出す。
 男子も「お前、アリスのコスプレしろよ!」「バッカじゃねーの!」「じゃあ、セーラー服?」「超面白いじゃん!」と乗り気な雰囲気。
 ちょっと待て!
 ここは普通、男子が「女装は嫌だ!」とか言って猛反対するところじゃないのか!?
 なんで乗り気なの!?
 ―――結果。
 満場一致まではいかないとしても、圧倒的に多い票数を獲得して❛❛男女逆転コスプレ喫茶❜❜が採用された、いやされてしまった。
 日葵なんか笑い転げてる。
 裏切り者!
 シレッと男女逆転コスプレ喫茶、略してコスプレ喫茶に投票していたし。
 早速クラスメイトが何のコスプレをするかで盛り上がっている。
 そこに、担任の米村先生が「ちょっといいか」と口をはさんだ。
 皆、いったん静かになって米村先生のほうを見る。
 「文化祭を行うにあたって、クラスから男女一名ずつ文化祭実行委員を出してくれ。決める方法は立候補でも推薦でもオッケーだぞ」
 教室がざわめきだす。
 「俺、嫌だ」
 「絶対めんどくさいよな」
 「私、真紘くんとならやってもいいけど、真紘くんは男子じゃないもんね」
 「それな」
 私ももちろん嫌だ。
 というか、好き好んで立候補する人はいないだろう。
 すると、一人の男子が声を上げる。
 「柳井真紘さんがいいと思いまーす」
 「あー、分かる」
 「俺も言おうと思ってた」
 ちょいちょいちょいちょい!
 待て待て待て待て!
 新学期そうそう嫌がらせか!?
 暇なのか!? 
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