準備は着々と進みつつある。

1日1日が大切で、密度の濃い時間を過ごしていた。

「あれ? 坂上ちゃん。伊吹くん今日は一緒じゃないの?」

同じ3年生の別クラスの実行委員の子からそう声をかけられて私は資料から顔を上げる。

「田所さん」

「いつも一緒に来るのに。伊吹くん、何か用事?」

「うん。なんか職員室に寄ってから来るってさっき連絡があったよ」

「職員室? えー、それ嘘だぁ」

「岡くん」

田所さんの隣で作業をしていた2年生の岡くんが、ニマニマしながら人差し指を顔の前で振った。

「嘘って?」

気になって尋ねると岡くんは得意そうに胸を張った。

「だって俺見ましたもん。伊吹先輩が女子と一緒に屋上の方に上がっていくの」

「はー!? 何それ。もしや告白?! 女子ってどんな子?」

興味津々で聞く田所さんに、岡くんはもったいぶって答える。

「うーん、ロングパーマの人でしたよ。後ろ姿しか見えなかったけど。大人しい、内気な可愛い系と俺は推測します」