右を見て、左を見て、また右を見て。

「のあ。それじゃまるで、のあが不審者だよ」

麻ちんのツッコミを無視して、そっと教室を出る。

廊下を出てからも、私は左右前方後方の確認を欠かさない。

さっと購買部に行って、さっとチョココロネを買って、さっさとー……今日はどこへ逃げよう?

屋上は真っ先に見つかったし、中庭は3年棟から丸見えで見つかる可能性がすごく高い。あとは、えーと。思いつかないな。図書室……はマズいか。

「諦めて教室で食べるのがいいんじゃない? 人気者だし、のあのワンコ」

「ワンコじゃない。っていうか、よくないよ! 全然よくない。なんとなく教室に馴染んできてるのが尚更よくない」

「この間クラスの女子がお菓子あげたそうにしてたから、のあのワンコに餌あげちゃ駄目って言っといたよ」

「何て事してくれてるの、麻ちん」

すたすたと廊下を早歩きしながら早口で話す。

「大体、泉くんは1年生なんだから! 3年の教室で我が物顔でいる事自体がおかしいんだからね」