貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます【番外編追加しました】
序章
「欄悠!」

 走って行く先に愛しい人を見つけた紅華は、嬉しそうに彼の名前を呼んだ。その声に気づいて、欄悠は顔をあげる。
「ここだよ、紅華」
 彼は、いつものように朗らかな笑顔で紅華を迎えてくれた。変わらないその笑顔に、紅華は安堵と共に満面の笑みを浮かべる。

「来てくれたのね。嬉しいわ」
「君に会えるなら、いつだってどこへだって行くさ。愛しい紅華。ああ、そのかんざし使ってくれているんだね。高かったけど、思い切って買ってよかった。思った通り、君の黒髪に映えてとても綺麗だよ」

 紅華の髪に飾られているのは、白い玉に青い房の付いた美しい細工物のかんざしだ。欄悠がそのかんざしにそっと触れて、紅華は笑みを浮かべる。
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