シンクロニシティ【中学生日記】

その時、彼は

 オレはどうしても国語が好きになれなかった。相性が悪いんだろうな、多分。
 それは四字熟語の小テストでのことだった。


問)つぎの四字熟語を完成させなさい。
 ①危□一□ 

  オレの答➡危機一発
   正解)危機一髪

……なんで髪なのさ。
 薄毛芸人のネタみたいじゃんか。一発のほうが雰囲気出てるだろうが。ファイト〜って。

 ②相□相□   

    ➡相愛相愛
  正解)相思相愛

……アイアイ? 
 じゃぁ、アイアイと。
なんだこりゃ、お猿さんだね。

 ③金□玉□   
    ➡金ノ玉玉
  正解)金科玉条

……おいおいシモネタをブチ込んできたぜ。
 ここ、学校だぜ?


 今回も軒並み不正解だった。
 国語が得意なやつがうらやましいぜ。
 そうつぶやきながら、オレの頭にはクラスメイトの奈緒の顔が浮かんでいた。
 キュン…… 小さく胸が鳴る。

 あっ今、いいこと思い着いた。
 彼女に勉強のコツを聞く場面を作り、自然体で親しくなって行くってのは、どう?
 奈緒って、文学少女っぽいじゃん。自分の得意なことならスンナリ受け容れてくれるよね。

「それ、大喜利なら85点かな。テツローくんのそういうセンス、わたし好き♡」
 って、ならないかなぁ……

 オレは独り、ニヤけながらそんな妄想に耽っていた。
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