月に魔法をかけられて
愛することの意味 –壮真side-
穏やかな日曜日の朝。

カーテンの隙間から零れる光に、俺は幸せを感じながら目を覚ました。

隣を見ると美月がピクリとも動くことなく、俺に可愛い寝顔を向けて熟睡している。

昨日はつい嬉しくて、いつも以上に美月を激しく抱いてしまったもんな……。

鎖骨から見えるたくさんの赤い痕が昨日の夜の出来事を物語っていた。


こんなにつけたの知ったら、また美月に怒られるかな……。
いや、こいつ天然だからまた予想外のこと言い出すんだろうな……。


俺は前にあった美月との会話を思い出し、ふっと口元を緩めた。

以前、俺が首元にキスマークをつけたときのこと。

頬を真っ赤に染めた美月がつかつかと俺の前にやってきた。

「もう! 壮真さん……!」
「んっ? どうした、美月?」
「こっ、これ……」

恥ずかしそうにリブニットのタートルネックを引っ張って、首元を俺に見せる。

「ああ、キスマークだよな。悪い……。美月の反応見てたら可愛くてつい……」

俺は照れくさい気持ちを悟られないように、頭をポリポリと掻きながら苦笑いを浮かべた。

「やっぱり恥ずかしいよな……」

コクンと頷く美月。

「ごめん。もうつけないように気をつけるから……」

ニコッと微笑み、宥めるように美月の頭にぽんぽんと軽く触れて謝る。

だがそんな俺に美月は、

「それは嫌……」

と、さらに真っ赤な顔をして首を横に振った。

「えっ?」

「もうつけないなんて言わないでください……。だっ、だって嬉しいから……」

「んっ? 美月、キスマークが恥ずかしいんだよな?」

「恥ずかしいのはキスマークじゃなくて……、昨日こんなことしたのが他の人にばれちゃうのが恥ずかしいんです……。もう少し見えないところにしてもらえませんか……。これだと毎日タートルネックの服しか着れないから……」

瞳をゆらゆらと揺らしながら、俺を見つめる美月。


こいつ分かってんのかな?
そんなこと言われたら、男は喜んでもっとつけるに決まってるだろ?
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