月に魔法をかけられて
聞きたいけれど……
月曜日の朝。

はぁぁ……。
会社に行きたくないな………。

朝から何度目の溜息だろうか。いつも通りメイクをして、既に支度を終えたものの、朝から溜息ばかりついている。

私はドレッサーの前に座って、鏡に映る眉間に皺が寄った憂鬱な顔を見つめていた。

あの日、私はホテルを出て始発に乗って家に帰ると、張り詰めていた緊張の糸が切れたのか、玄関からそのまま吸い寄せられるようにベッドの上に崩れ落ちた。

そして。

目が覚めたのは夜の20時を過ぎたころだった。

最初、部屋の時計を見たとき、朝の8時と勘違いして、どうして外が暗いのかと不思議に思ったほどだ。

それが夜の20時だと分かり、14時間近く一度も起きることなく寝ていたことにかなり驚き、信じられず何度も時計を確認した。

テレビをつけて、土曜の夜に放映されているバラエティー番組を見て、本当に夜の20時なんだと納得した。

そんな時間に起きたものだから、土曜日はそのまま潰れてしまい、日曜日はというと、掃除をしたり洗濯をしていたらあっという間に1日が終わってしまった。

本当なら、ホテルの朝ごはんを楽しみ、エステで癒され、家に帰ってゆっくりと過ごす予定だった土日が、結局何にもすることなく過ぎていった。
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