月に魔法をかけられて
友達思い
「彩矢、お待たせー」

丸の内のスペインバルのお店に到着すると、彩矢がちょうどメニューを見ながら何かを注文しているところだった。

「私も今さっき着いたとこ。美月、何飲む?」

椅子に座った私に、彩矢が飲み物メニューを見せる。

「えっと……。じゃあ、カシスオレンジで」

「じゃあ、ビールとカシスオレンジで。料理はもう少し考えます」

彩矢が店員さんにそう告げて、今度は料理のメニューをテーブルに広げた。

「美月、何食べる? 魚介のパエリアは絶対食べたいよね。時間かかるから先に頼んじゃおっか。あとは……、生ハムもいいよね」

「うん。生ハム食べたい。あっ、あとエビのアヒージョと、タパスの盛り合わせも食べたいな」

「それいいね。とりあえず、それ頼もっか」

飲み物がきたところで、私たちは料理を注文すると、改めて乾杯した。

「お疲れー」

彩矢が美味しそうにゴクゴクとビールを飲む。

「あー、マジで今週はほんと疲れたー」

私もカシスオレンジを口に入れると、ふぅーと息を吐きながらグラスを置いた。
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