乙女ゲームの断罪エンド悪役令嬢に転生しました ~超弩級キャラのイケメンシークがお買い上げっ?!~

6.救国の聖乙女殺害未遂の罪で牢獄に……?

 ドレスの裾をはすっぱにたくし上げ、ユージンを突き飛ばしてアリスが前に出る。

「ちょっと! フォーチュンナイトたち! なにを、ぼーっと突っ立っているのよ? この言い逃ればかりするクソジジイを捕えなさいよ! 早く!」

「は、はい! ただいま!」

 動かぬ衛兵の代わりに、フォーチュンナイトと称する元同級生たちがブレンダンに襲いかかる。

「国庫を無断で……離せ! 国王陛下の御前で、なにをする!」

「でたらめなんか言わせないわよ!」

「でたらめでは……うわぁっ……離せ! 無礼者め!」

 ブレンダンは9人がかりで押さえつけられ、もみくちゃにされてしまった。
 9人の若い男に一方的に暴力を振るわれる父を目にして、ローゼマリアは慌てて国王陛下へと陳情する。

「国王陛下! お、お父さまをお助けください! あんまりでございます!」

 それを目にしたアリスが、忌々しいとばかりに舌打ちをする。

「ちょっと! フォーチュンナイト! 半数はこの女狐を捕えなさいよ! ホントに指示しないと動かない連中ばかりなんだから!」

 苛立ったアリスが吠えると、5人のフォーチュンナイトがブレンダンから離れ、ローゼマリアに近づいてくる。

「あ……」

 恐ろしくてじりじりと後退するが、フォーチュンナイトのほうが足は速かった。
 その背後で悪魔のような顔をしたアリスが、人差し指をローゼマリアに向けて突きつけてきた。

「捕らえて牢獄に入れるのよ! それがその女……ローゼマリアの運命なんだから!」

(わたくしの……ローゼマリアの運命……? ああ……)

 前世の自分と、今世のローゼマリアの記憶が混濁し、意識が朦朧としてくる。

(そうよ、このあと……悪役令嬢のローゼマリアは……王太子妃となる救国の聖乙女殺害未遂の罪で牢獄に入れられ、そのあと修道院へとおくられる。……いえ、待って。それは確か全年齢版のほうで……)

 自分の進退に関わる大事なことを思い出しかけたとき、クラリと目眩がして足からスーッと力が抜けていった。

「あ……」

 あまりに衝撃的な事実に、精神が耐えられなくなる。

「ローゼ!」

 いくつかの声がローゼマリアの名を叫ぶ声が、意識はどんどん闇に溶けていってしまう。
 そのまま床に倒れこんでしまい、気を失ってしまった。

(これは夢よ。次に目が覚めたときは、もとの四畳半のアパートでベッドに寝転んでゲームをしているはず……)
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