すぐそこに夏空が【中学生日記】
 太鼓と(かね)の音が聞こえた。
 その響きは硝子の風鈴を連想させる。丸っこいカラフルなものが、乾いた音をたてながら揺れていた。
 もう祇園祭か……

 祭りが夏を連れて来る。それがいつもの夏のルーティーンだった。
 期末試験が終われば、まもなく梅雨も明けるだろう。そうなれば、あとはもう、お楽しみの夏休みを待つばかりだ。

 ただ……
 今年のオレたち中学三年は、どうやら出来が悪いらしい。だから全国の統一模試が始まる前に、夏休みの補講があるんだって。あぁー面倒くせぇ……

 でもそんなの関係ねえ、って感じで、オレの頭の中は、夏色一色だった。

 絶対、彼女と一緒にお祭りに行くんだもん。そう決めたんだ。
 あっ、海でもいいかなぁ…… 

 あーもう、楽しみだぁ……
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