贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚
1

「結愛《ゆあ》ちゃん。行きますよ。」

「はーい。」

5才の長女 結愛は 毎日 嫌がることなく 幼稚園に向かう。


「ママ。今日は お弁当ない日だよ。」

「そうね。フフフ。結愛ちゃん 何で そんなこと言うの?」


マンションの エレベーターの中で

結愛は 私の顔を見て ニコっと笑う。


「結愛ね。また 高い所のレストランに 行きたいの。」

「お誕生日に 行った所?」

「そう。あのね。窓から 結愛の幼稚園も 見えたでしょう。」

「でも 今日 パパは お仕事だから。ランチは ママと結愛ちゃん2人だけよ。」

「ねぇ ママぁ。パパにお願いしてぇ。」


エレベーターで 直接 地下の駐車場に 降りて。

結愛を ジュニアシートに乗せると

私は 愛車のエンジンを かけた。


結愛の通う 幼稚園まで ベリーヒルズヴィレッジから 20分。


慣れた道を 走りながら。


「急に言っても パパは お仕事の都合があるのよ。昨日 結愛ちゃんから パパに聞いてみれば よかったのに。」

「だってぇ。パパ 帰りが遅かったんだもん。」

「そうか。結愛ちゃん 昨夜は パパに会ってないのね。」

「うん。だから 結愛 今日は パパも一緒に 高い所のレストランに 行きたいの。」

「後で パパの都合 聞いてみるわね。でも お仕事だったら 結愛ちゃん 諦めてね。」

「うん。わかった。」

「 ” うん ” じゃないでしょう。お返事は。」

「はい。ママ。」


幼稚園までの道 車を運転しながら。

結愛と いつまで こうして話せるのかなぁ…






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