ずっと、そばに

回診


本当は入院なんて絶対したくなかった。


注射や点滴の痛さ。
鼻につく消毒液の臭い。
全体的に白い殺風景な部屋…そのすべてが怖い。


弱虫だから

怖くなるとすぐに泣いてしまって先生を困らせる。

無駄な入院費用もかかり、お母さんにも迷惑かける。


入院したって周りの人にも自分にとっても良いことなんて何一つない…。



だから、大人しくして翔馬先生を安心させてから、夜中にでも コッソリ抜け出そうともしていた。

それなのに、結局、

こうして病室で朝をむかえてしまった。



それは、怖い中でも、ここが居心地良いなんて感じてしまったからだ。


翔馬先生といると落ちつく。

昨日は数年ぶりに笑えて、夜も、
このまま眠った状態で死ねかいかとか考えなかった。


特に翔馬先生に何も話してないのに、

私の気持ちをわかってくれているような気がする。

怖さ、孤独感、何年も抱えていたそんな辛さを

温かい心でふんわりと包みこんでくれた。


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