切ないほど、愛おしい
出会い

いつもと違う朝

カーテンの隙間から差し込む柔らかな日差し。

ああ、朝日だ。

仕事を始めてから不規則な生活に慣れてしまって、朝日を浴びて目覚められたのは本当に久しぶり。
こんなふうに起きられただけで、今日1日が良い日になる予感がする。

でも待って、私の部屋ってこんなに朝日が当たるんだっけ?
家賃をケチったせいで、眺望も日当たりも諦めたはずだけれど・・・

ううぅーん。
ベットの中で手足を伸ばし伸びをする。

そう言えば、ベットもいつもよりよくスプリングが効いている。
シーツも洗いたてで、気持ちいい。
私、シーツに糊なんてかけたかなあ?

・・・。

えっ。

眠い目をこすりながら、私は辺りを見回した。


ここは、見覚えのない部屋。

広さは8畳ほどで、部屋の中央にはキングサイズのベット。
それ以外に大きな家具は見当たらず、ここは寝室らしい。
カーテンも寝具も黒で統一されていて、とてもシンプルな部屋。
ただ、サイドテーブルの上に置かれた小物や部屋の造りから、ここがホテルではなく誰かの部屋なのはわかる。
それも、おそらく男性の部屋。

えっと、えーっと。
昨日私は・・・思い出した。

具合が悪くなったところを見ず知らずの男性に助けられたんだ。
そして・・・

ああ、マズイ。
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