無気力さんと同居するらしい


「うぅ……ふっ……ぐすっ」

慣れない涙が頬を伝う


なにこれ
ほんとなにこれ

なんで泣いてんの

涙のわけがわからない


女の子達が怖かったんじゃなくて

怪我が痛いんじゃなくて

真琴くんが優しいからじゃなくて


なんかもう全部だ

全部


いきなり始まった同居生活が不安で

そんな時に告白されて、ちゃんと向き合えなくて蒼馬を傷つけてしまって

そんなつもりないのに知らない女子に妬まれて

なんか背中押されて怪我して

相談したくても、いざという時誰かに頼れるようなキャラじゃないから我慢して

そんな時に真っ直ぐ向けられた優しさの受け取り方がわからなくて


いっぱいいっぱいになっちゃったんだ

私の器じゃ収まりきらない
たくさんの感情が溢れてしまったんだ

それが涙になっただけ


ああ、いつぶりだろう

こんなに素直に泣いたのは


流れる涙と響く嗚咽をそのままにして

いつのまにか手首じゃなくて私の手を、指を絡めて握っていた真琴くんの大きな手

それを強く握り返した


「梓…よく頑張ったな」


誰かに、言って欲しかった言葉

きっと私が

待っていた言葉


それを言ってくれたのが

真琴くんで

よかった

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