あの丘で、シリウスに願いを
第一章 あこがれ


心震えるほどに、感動した景色がそこにあった。



青空の下、太陽の光が反射してきらめく街。



それは、「ベリーヒルズビレッジ」と呼ばれる複合施設だ。



六平(むさか)まことは、駅でもらったベリーヒルズの案内図を手に、しばし息をするのも忘れるほど見とれた。


太陽の光を浴びて輝きを放つ高層ビルは、オフィス棟。
隣接する居住棟の高級レジデンス。
その奥ちらりと見えるのは、日本有数の優秀な外科チームがいることで有名な総合病院。
そして、高級感溢れるショッピングモール。


それら人間が作り出した建築物と、周囲の木々の自然との共存は、計算されていると分かっていても見事で、目を見張るほどに美しい。



電車の車窓から見えた美しい景色に、思わず途中下車したが今回の目的地は横浜だ。
もっとゆっくり見つめていたかったけれど、これ以上は約束の時間に遅れてしまう。

ーー終わったら、改めてゆっくり眺めよう。

そう決意して、まことは再び横浜行きの電車に乗った。
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