遺書
後悔
本当の遺書を読んだ私は心の底から後悔した。ほとんど毎日顔を合わせていたのに、どうして叔父さんの病気に気づかなかったのか。
今思い返せば兆候があった。ここ数ヶ月前から叔父さんとは当たり障りのない話しかしてない。
この前の花見だって、昔家族で一緒にしたことを話題に出したのに、無反応だった。あの時、酔った叔父さんが転んで桜の枝を折ってしまい、それを治そうと私が髪に結っていたリボンを解いて裂目にくくりつけたのだ。お気に入りのリボンを盗られた私は大泣きし、叔父さんは酔いで上手く結べず折れた枝を持って悪戦苦闘していた。結局、桜の枝は持ち帰り枝は業者に頼んで治療してもらった。今でもその桜に痕が残っているので、叔父さんをからかう為に話を振ったのだが、とぼけたフリをしていた。あの時の様子はとぼけたのではなく、本当に覚えてなかったんだ。

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