復讐目的で近づいた私をいくらで飼いますか?
そしてパーティー当日。
「このドレス着るの?」
「赤、肌の色に合いそうだし、質感も文句なし。」
新が私に見せてきたのはノースリーブの深紅な色合いが魅力的なドレスだった。
妖艶な雰囲気が漂う肌触りの良い生地に触れれば、高級素材で作られたものだということは容易にわかる。
「…私に似合うかな?」
「俺の見立てにケチつける奴、初めてだわ」
「あ、あはは」
似合わないのは値段。
嫌というほどに復讐のため、真剣に磨いた外見は問題ないと思う。
場違いな人間が、身分につり合わないラグジュアリーなドレスを身に纏う。
「……新が私に似合うと思って用意してくれたドレス…。背筋伸ばして綺麗に見えるように頑張るね!」
取り繕った見た目と、取り繕った笑顔。
こんな私にした男から渡されたドレスを着て、その男の隣を歩く。
なんて屈辱的だろうか。