復讐目的で近づいた私をいくらで飼いますか?
「んっ…んんッ…!」
舌先で胸の頂きを転がす新と目が合うと、彼は口角を意地悪に上げる。
「お前、ここ好きだよな…」
風呂にシャワーの飛沫が同心円状の模様を作る。その中で愛されていた。
「もう片方も…ほら、硬い。触って欲しそうに主張してる。」
「いちいち恥ずかしいこと言わないで…」
こんなのただの演技だ。嫌いな男と同じ湯船に浸かりながら善がってるなんて認めたくない。
全ては新に好きになってもらうため。酷く振って、苦しい思いをさせるため。
「……ふっ…下、お湯とは違う感触だけど…。ヌルって吸い付くみたいな…。興奮してんの?」
「うん…」
つぷ…と中指をナカに挿れて、親指で肉芽を押しつぶす。快楽が内側から湧き上がり、甘い悲鳴が喉奥から溢れる。
「指一本じゃ物足りないか? 締めつけてきて…圧迫感すごいな。」
喉元で笑うようにクッという笑い声が聴こえた。
「俺のものってシルシ…たくさん付けてやる」
お湯で柔らかくなった首筋に舌を這わせて舐め上げた後、吸い付く。ピリッとした痛みが走れば、新は私の顔を覗き込んだ。
「そんなとろっとろな顔して…首ばっかりに集中してないでさ…」
ナカに挿れられている指がグニュグニュと蠢き出す。
「ひゃぁッ!♡」
「……下…忘れんなよ…?」
「んんっ!」
トントンと指の腹で的確に良いところを突いてくる。自分の意思に反して私はグズグズになっていった。
「ほんと…感じやすいな…。この間まで処女だったなんて信じられないくらいだ」
「んっ…!はぁ…はぁ…」
「お前、気持ちいいことが好きなの? ……淫乱だな」
また喉元で笑うような乾いた音が浴室で響き、私と彼の視線は合致した。
そこで不意に快楽の間を縫うように垣間見える違和感を覚えた。
違うのだ。いつもと。
「……お前ってさ………」
何が? 何が違う?
「……貞操観念ないの?」
低くて冷たい声と鋭い視線が私を突き刺す。
あぁ…そうか。
「………今日の新とはエッチしたくない…」
違うのは新の態度か。
いつも行為中は優しいのに、今日は冷たい心が肌を重ねて伝わってくる。彼の加虐心が言葉に乗って私の心を刺激する。
「……………」
私の反応に対して新は無言のままでいた。
別に復習相手に優しさなんて求めていない。求めていないけれど、ここまで冷たいと全く脈がないみたいで悲しくなる。
いや、悲しさとか優しさが欲しいとかそういうのは関係ない。
…困惑してるんだ。
「………俺はシたい。」
私の意見を無視して彼は彼自身のものを蜜壺に充てがう。別に全力で拒まない私は息を吐き、ゆっくりと沈めてくる彼を受け入れた。
口を硬く結んだまま、何も纏わない感触を初めて感じる。
ギリギリまで引き抜いて、それから奥深くへ。何回か繰り返したあと、新は私の唇を奪った。
「んっ…ふぅ…」
くちゅくちゅと口内で鳴る唾液が絡む音は興奮要素となって耳に響く。
新は自我を忘れたように私の舌を甘く吸った。
「のぼせる…」
キスの合間に私が言葉を零すと、新は一度ナカから退いて私のことを抱き上げる。それから浴槽を出て、私を高価そうな風呂場のタイルの上に立たせた。
「……んっ…終わり…?」
「……いや、まだ」
後ろから立っている私を抱きしめ、乳房を手のひらで揉み込む。
「……気持ちよくしてやる…」
耳元で囁き、そのまま私の耳を舌先で侵した。
「んっんん…ッ…」
「ふっ…下も…」
再び、今度は勢いよくナカへと入ってくる肉棒。後ろから立ったままされる初めての感覚に、溺れそうになっていた。
湯船に浸かっているときと違って、ずぷずぷと響く卑猥な音に左の鼓膜が震える。右の鼓膜は未だに新の舌に愛され、絶頂は急に押し寄せた。
「んっ!!」
ビクビクと痙攣する身体を見て、新は満足そうに笑う。
「イってる時ってグネグネうねって…全部持ってかれそうになる…」
「もぉムリ…っ……あぁ…!」
最奥を突かれ続けて再び快楽の波が押し寄せてきた頃…。
「一緒にイこ…。」
「純連…」
どうして…?
なんで…?
なんで、そんなにも愛おしそうに…私の名前を呼ぶの…?
「はぁ…純連…」
胸が高鳴る。
受け入れたくない。
受け入れちゃいけない。
嫌だ…。
「……好きだよ」
上がる息と体温にクラクラする。振り向いて唇を重ねて、無我夢中になって…。
「あらたぁ…」
「純連…」
甘い声で名前を呼びあう。
認めたくない。
認めちゃいけない。
私が果てたことを気持ち良さそうな表情を浮かべながら新は確認する。それから自身を引き抜いて、私の背中に白濁した液を放った。