第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II

5.ハイビスカス




(へえ、ここがルリーマ王国の王城かあ)



 長い道のりの末ようやくたどり着いた目的地。

 城もこの国の雰囲気を反映しており、素朴で落ち着いた感じの美しい建物だ。

 だが外観は素朴でもやはり城は城。隣国から帰還した王子とその客人を、数多くの使用人が出迎えた。



(少し緊張するわね……)



 他国の王城に訪れるというのは、アリシアにとって初めての経験である。何か粗相があれば国ぐるみの問題になるのではと、ついネガティブな想像が膨らみ、気が引き締まる。


 そしてその最大級の緊張のまま、帰還の報告をするカイに従い国王への挨拶を済ませ、その後用意してもらった部屋へと向かう。

 しばらく休めるだろうかと思ったが、カイが城内を案内すると言うのでそれは叶いそうにない。

 仕方がないのでノアだけ先に休ませ、アリシアはまた部屋を出てカイたちの待つ場所へと急いだ。



「ああ来た、アリシア殿!」



 アリシアの姿を捉えたカイは、笑顔で手を振る。

 その後ろのイルヴィスは暑いからか、仕事中のときのように髪を後ろでまとめている。それを見て、自分もノアに髪を結い上げてもらえば良かったと少し後悔する。いつも通りハーフアップにしている髪がまとわりついて暑い。


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