【番外編】好きの海があふれそう
女性の方は小柄で、かわいらしい雰囲気と優しそうな顔つき。



男性の方も、おおらかで大人しめ。



年齢は、2人ともあたしよりちょっと下くらいかな?



お似合いの夫婦だけど、どなた…?



私がキョトンとしていると、女性の方が口を開いた。



「あっ、私たち、今日隣に引っ越してきました、霜月です」



見た目同様、声もかわいらしい。



引っ越し…?



そういえば、管理人さんに言われてたような気も…。



「これ、よければどうぞ」



そう言って、お菓子の袋を渡された。



有名な東京名物のお菓子。



慌てて受け取った。



「あっ、ありがとうございます。わざわざすみません!」

「いえ! あの、11月に子供が産まれる予定なんですけど、うるさくしてしまったらすみません…」

「あ、いえ全然! うちも2ヶ月の娘がいますし、子供はうるさくてなんぼなので何も気にしないでください!」



あたしがそう言うと、2人ともほっとした顔をした。



子供が大きな声を出すことを申し訳ないと思う必要はないし、子供の声はみんなで許容し合いたいんだ。



だから、子供を持つ親としてそう言うのは当然だった。



それにしても、11月か~。



杏光は3月産まれだから杏光とは学年は一つ下になるのかな?



実咲ちゃんちの子とは同学年だ。



「お隣同士、仲良くしましょうね。子供達も仲良くなるといいな」

「はい!」

「あっ、今ちょうど鍋やってるんだけど良ければ食べていきます?」



同世代の子どもを持つご近所さん。



せっかくなら仲良くなりたいし!



2人は最初遠慮がちだったけど、あたしが強めに勧めたら来てくれた。



2人を家に入れて、それぞれご挨拶。



妻の方は雛子さん。



夫の方は、雛子さんが「霜くん」と呼んでいたので、「霜さん」と呼ぶことにした。



「じゃあ雛子さんは専業主婦なんだ」

「そうなの。家事が好きだからね」

「なら悠胡くんと真逆だね」
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