【番外編】好きの海があふれそう
年上のお姉さん
俺の名前はケンタ。



10歳。小学4年生。



高校一年生と中学一年生の姉ちゃんがいる。



彼女はいないけど、好きな人がいる。



それが、一番上の姉ちゃんである日夏の友達、杏光ちゃん。



日夏が高校に入ってからできた友達で、よく家に遊びに来る。



いつも笑顔で、俺にもよく話してくれたり、たまにお菓子とかも買ったやつを持ってきて俺にくれるんだ。



そんな杏光ちゃんはすごく輝いて、大人に見えて、俺の憧れ。



「ケンタ~。今日プール行こうぜ~」

「悪い、今日はパス!」



その日の授業が終わって、クラスの友達にプールに誘われる。



放課後のプールは、ここのとこ俺たちのブームになってる。



だけど今日は杏光ちゃんが来るって、昨日日夏が母さんに言ってた。



だから今日はどこにも遊びに行かずに、すぐに家に帰るのみ!



友達は、「はあ? なんでだよ?」といぶかしげな顔をしてたけど、あえて無視。



とにかく今日は家に帰る。



文句を言う友達と別れて、帰宅した。



「ただいま!」

「おかえり~。今日もプール行くの?」



家で仕事をしてる母さんが、リビングから顔を出して俺に聞いた。



「今日は行かない!」

「ふーん。なんかあるの?」

「えーと…。宿題がある!」



なんて嘘だけど…。



高校生は、小学生より学校の終わりが遅い。



杏光ちゃんが来るまで、そわそわしながら2階にある自分の部屋でゲームをして過ごしてた。



そして、しばらくして、下から玄関のドアが開く音がした。



続いて、日夏たちの声。



来た!



俺は、1階に降りた。



「お、杏光ちゃんだ」



できるだけ自然になるように、今気づいた風を装う。



「ケンタじゃん。元気?」

「超元気」



杏光ちゃんと軽く会話をする。



それだけでなんだかすごく充実した気分になる。
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