カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
まさか恨みをかっていただなんて、予想していなかった。

確かに、清良というおもちゃを失くした鞠花が次に誰をターゲットにするかなんて、少し考えればわかることだ。

見せられた切り抜きを思い出して、嫌な気分が蘇る。

最初のふたつは信憑性がないとしても、最後のは堪えた。

清良には遠く及ばない、美しい女性の腰を抱く総司の写真は。

「……っ」

バッグをぎゅっと抱きしめて、唇を真横に引き結ぶ。

総司から与えられたアクセサリ、服、靴、バッグ、時計。上質な品の数々。

どんなに自分を着飾っても、清良という素材そのものが変質するわけではない。清良は清良だ。どこにでもいる、なんの取り柄もない、平凡な女性。

釣り合わないと、とっくにわかっていたはずだ。なのに、どうしてこんなにも胸が抉られるのか。

もやもやした気持ちを抱えながら、清良は帰路についた。

< 111 / 262 >

この作品をシェア

pagetop