新居のメインルームは、日が落ちると自動で明かりが点くようセットされている。防犯対策のひとつだ。

だから、清良が家に帰ってきたとき、家の中が明るいことに疑問は抱かなかった。

だが、玄関にポンとひとつ、黒い革靴が置いてあることには驚いた。というか恐怖を感じた。一体誰の靴だろう?

まさか知らない人が入り込んで? いや、泥棒の類が玄関で悠長に靴を揃えるわけがない。では知り合い? 秘書の真鍋が様子を見にきてくれたのだろうか。

びくびくしながらリビングに向かうと。

「おかえり清良。遅かったな」

シャツとスラックスをラフに気崩した総司がキッチンに立っていた。一体何が起きたのかと目を白黒させる。

「……あの、総司さん、どうして……」

「どうして? 主人が家にいてはまずいのか?」

「あの、いえ、決してそういう意味では」

「今晩はワシントンで会食の予定だったんだが、取引先の重役が急病で中止になった。一晩空いたから帰ってきた。メールにもそう書いたはずだが」

「っえ……!?」