カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
清良は慌ててバッグの中の携帯端末を取り出す。未読メッセージが一件。受信時間は十四時。

ああ、と清良は額に手を置く。仕事が終わってそうそう北村に会い、動揺することを言われたせいでメールの確認をすっかり忘れていたのだ。

蒼白になる清良を見て、総司はクスクスと笑っている。

「そんな顔をするな。夕食も用意しておいた」

「っえ……!?」

総司が自ら料理を……!? 驚いた清良はカウンターからキッチンを覗き込んだ。

そこにあったのは、プラスチックケースに詰め込まれたお惣菜の数々。なるほど、デリバリーを頼んでくれたようだ。

それにしても美味しそうだ。なにより高級そう。

中華のようだが、とびきり大きな海老に、ふかひれらしきものもある。まさかあれはアワビ……! っていうか、あの奥にあるのは北京ダック!?

目をパチパチと瞬かせる清良に、総司は笑みをこぼす。

「出来合いのものを皿に並べるだけなら俺にもできる。安心して待っていろ」

「それくらいなら私が……!」

「早く帰ってきたのは俺なんだから、俺がやるのが筋だろう。清良は早く着替えてきなさい。……とちょっと待て」

その言葉に、清良はギシッと固まる。総司も手を止めて、清良の上から下までまじまじと眺めた。

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