真鍋の迎えが来る直前。冷静に衣服を着直して、今さらながらに清良は思った。

「ひどいです。床の上だなんて」

「すまない。つい我を忘れて」

許される時間のすべてを床の上で絡まり合って過ごしてしまったふたりは、お互い少なからず申し訳なさを感じていた。

これでは野生動物、そのものだ。清良は激しい背徳感に苛まれているし、総司のほうも、もっと大切に扱ってやればよかったと――せめてベッドの上でと――罪の意識を感じていた。

床に打ち付けた背中がちょっぴり痛い。

「お詫びと言っちゃなんだが」

総司がおずおずと切り出した。

「来月は連休が取れそうだ。せっかくだから小旅行にでも行ってみようか」

「ほ、本当ですか!?」

清良の瞳が輝く。総司と初めての旅行、期待で早くも胸がドキドキしてきた。

旅先はどこがいいだろう、総司はもう考えているのだろうかと顔色をうかがう。

「総司さんは、どこに行きたいですか?」

見るからにうきうきとしている清良に、総司はもったいぶった様子で「そうだな」と怪しげな笑みを浮かべる。

「最高に美しい夜景が見える部屋を取って、今日の続きをゆっくりとしようか。今度こそベッドの上で、ひと晩中かけて」

(ひ、ひと晩中……!?)

総司が楽しみにしているのは、観光でも食事でもなく、ホテルのベッド――楽しみであると同時に怖くもあり、清良は真っ赤になってこくんと頷いた。