目の前に広がるは百万ドルの夜景――香港の摩天楼だ。ヴィクトリア湾を挟んで南に香港島の光り輝く超高層ビル群が見える。

「すごく綺麗ですね。日本にはない景色ですし、欧米ともちょっと違った感じがして……」

窓ガラスに手を置いて、その煌びやかな光景に感嘆の声を漏らすと。

「ここは独自の進化を遂げた都市だからな。経済的重要度が高い割に、何しろ面積が小さく人口密度が高い。限られた土地で上へ上へと発展させた結果、この異常なまでのビル群ができあがった」

気がつけば総司がすぐ後ろにいて、一緒に窓の外の夜景を覗き込んでいる。

ここは香港、九龍半島の南端に位置するラグジュアリーホテル。

最高に美しい夜景が見える部屋であの日の続きをゆっくりと――そう約束した総司は宣言通り、圧巻のハーバービューが望めるハイクオリティなスイートルームを押さえたわけだ。

「あまり中国って感じもしませんよね。街並みも西洋っぽい建物が多かったですし」

香港はイギリス統治時代が長かった影響で英国式の建築物が多い。格式高いこの名門ホテルはまさに当時の面影を残すコロニアル調の壮麗な建造物だ。