カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「私は安心致しました。総司さんはお仕事に力を入れすぎるきらいがありましたから。一生結婚などできないのではないかと思っておりました」

総司のワーカーホリックぶりは有名で、両親や親族はもちろん、秘書たちまで心配させていたほどだ。

とはいえ、自分より十も歳上のくせに未だ未婚の彼に言われたくはない。

「自分はどうなんだ、この遊び人」

プライベートはかなり派手だと聞いている。高給で羽振りがいい上、年齢不詳の整ったルックス。

総司は助手席でシートベルトを締めながら、運転席の真鍋に冷たい眼差しを投げかける。

が、その程度で怯まない豪胆な秘書は、ゆるゆると微笑みながら車のエンジンをかけた。

「私は端から家庭を持つ予定がありませんから。総司さんの場合はそんなことも言ってられないでしょう?」

総司のもとに縁談の話が日々わんさか舞い込んでくることを真鍋は知っている。

財閥である城ケ崎家の長男だ、期待も大きい。

「なにかと面倒ではあるな」

「私はあなたを見て、つくづく財閥なんて家柄に生まれなくてよかったなぁと思いました」

「よく言う」

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