予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
6 あなたと家族になりたいです
6 あなたと家族になりたいです
 




 リビングの窓を開けると、少し冷たい乾いた風が頬をなでた。

 サンダルを履き、広いバルコニーに出る。

 
 柵に手をかけ外をながめると、大きな川が見下ろせた。

 朝は太陽の光を受けた水面がキラキラと輝くし、陽が落ちた今は川岸に立つビルや街頭の光を反射して静かに揺れる。


 
 私はどちらの景色も好きだ。

 
 ここで暮らし始めてから、一日二回はバルコニーに出て川を眺めるのが習慣になった。

 ゆったりとした川の流れを見下ろしていると、自然と気持ちが落ち着く。

 
 そのまましばらく柵に頬杖をついてぼんやりしていると、「香澄」と名前を呼ばれ、肩に温かな感触がふれた。
 
 おどろいて振り向く。

 少し不機嫌な表情をした社長が私を見下ろしていた。



「またそんなかっこうで外に出て」


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