ただのクラスメイトの高木の笑顔を可愛いと思ってしまった。頭が暑さにやられてしまったのかもしれない。ボーッとする。
『友達をプールに突き落とす--な女子?』
高木に対して正直に思ったこと。それを聞いた彼女は眉を下げて悲しそうな顔をした。そんな表情をさせたかったわけじゃない。
今は暑さで頭がやられているから、先程思ったことを口にしてもいいのではないか。その言葉を口にしたら、彼女のその表情も笑顔に変わるのだろうか。
『ほんのちょっとだけ可愛い、ん、じゃない?』
赤くなる。照れてる。主に俺が。夏でおかしくならなければ、こんなこと言えない。
『じゃあ、ちょっと耳貸して』
あのね……、の言葉の続き。熱くなった顔を冷やすために、俺はプールにもう一度飛び込んだ。
きっと全部、夏のせい。
何気ない青春の1ページ。季節が巡ってまた訪れる夏の暑い日に、彼らと一緒に溺れてみたい。