【完】爽斗くんのいじわるなところ。

彼は潔癖症

優心くんを玄関で見送ったすぐあとだった。


ドアを閉めようとしたとき、
ちょうどお隣の玄関のドアが開いて、
外出する爽斗くんと鉢合わせてしまった。


「お。サヤ、ばいばーい」


優心くんは手を振りながら過ぎ去って
エレベーターに入っていく。


あたしも爽斗くんも閉まるエレベータに目を向けて



それから互いを見た。


茶色の瞳が向いた瞬間、
ドクンと心臓が音を立てる。



喧嘩のあとの気まずい空気が
あたしたちを纏っている。



でも彼は、風邪引いた時だけは優しいひとで。


「莉愛元気そうじゃん」



額で体温を確認してくれて、その手が離れた。



「で、なんで優心がいんの?」


ぼそっと呟いた声が暗いし怖い。



「お見舞いに来てくれたの」


「……ふーん、へぇー」



うう、怖い……
早く、昨日のことを謝らないと……。



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