極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
1話「真夏の出会い」

   1話「真夏の出会い」


 サングラス越しに高い青空を見上げる。
 そこには強い日差しを放って輝く太陽が眩しさと共に守青畔(すあほとり)を見下ろしていた。
 久しぶりの外の世界に、畔は笑みがこぼれてしまう。
 太陽から視線を少し下に向けると、そこには大きな白いビルがある。いや、それだけではない、高い高層マンションや、屋根に緑の草木が見える施設や、低い建物だが足を踏み入れることのないレジデンスなどがある。
 1つの町のような場所には沢山の人々が歩いている。どういう場所なのかを知っているからだろうか、皆上品で気品があるように見えてしまう。

 『何やってんだ。熱中症になるぞ』
 『あ、叶汰。日光浴しながらこのタウンを眺めてたの』
 
 肩を叩かれ、後ろを振り向くとそこには仏頂面の男がこちらを見て大きく口を開けてしゃべっている。

 『日傘させよ』
 『日傘さしたら日光浴にならないわ。少しぐらい太陽の光を浴びさせてよ』
 『もう行く』
 『あ…待ってよ!』

 畔の手を引いて歩き出す、彼の背中には大きなリュック、そして手元には鞄もある。それなのに、畔の手をぐいぐいと引っ張るのだ。相変わらずに強引だ。

 畔の先を歩くのは、幼馴染みの内空閑叶汰(うちくが かなた)。畔が幼い頃からの幼馴染みだ。仲が良かったはずだが、少し前からイライラしている事が多かった。けれど、畔の事を心配しては何かと面倒をみてくれる。今日も休日にわざわざ来てくれたのだ。
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