王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
3章 資料室と遭遇と約束と
3章 資料室と遭遇と約束と





一体なんだったの? あれは―――



そんな疑問が解決されることもなく、金曜日がやってきた。

ここ最近、ものすごく寝不足に悩まされている。


「うわ⋯⋯すごい、くま」


レインボーヒルズタウンからバスで15分ほどの、築30年のボロアパート。

私は起床するなり、ワンルームの間取りにある、質素な洗面所の鏡で、自分を見て幻滅した。

靑白い顔に、目の下には黒ずんだくま。

もちろん仕事の疲労もあるけど、一番の原因は、


「はぁ⋯⋯社長はほんとうに、なんだったの」


美しき王子の気まぐれなのか、それともお遊びなのなか、はたまた⋯⋯からかいなのか。

そのせいで、私の頭は漆鷲社長の顔でいっぱいだった。
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