クールな社長の不埒な娶とり宣言~夫婦の契りを交わしたい~

さり気なさを装いつつ、マスターはそのまま観察を続けた。

着物を着た女性がバッグから何かを取り出す。
見ればそれは茶封筒で、彼女は指先で押すようにしてワンピースの女性の前にスッと差し出した。

ワンピースの女性は躊躇する様子も見せずに封筒を受け取る。

なにか会話を交わしているが、内容まではカウンターの内側までは届かない。

マスターはそれが少し残念だと思った。

だが、たとえ聞こえたとしても、マスターには何もわからないだろう。
そしてわからないまま、更に興味を掻き立てられたに違いない。


彼女たちはこう言っていたのである。


『お互いこの秘密は、墓場まで持っていきましょう』
< 3 / 248 >

この作品をシェア

pagetop