Fake love(2)~離婚からはじまる社長の深愛~
ご近所さんは元夫
六本木グランビアタワーレジデンス。
地上三十階建ての六本木のシンポリック的なマンションとして、二年前に完成。
マンションを囲む緑豊かな常緑樹が自然を演出し、北欧風のブラウン系のタイルの石畳がエントランスまで続く。

中に入るとエントランス全体がガラスウォール。
共用スペースには英語対応可能なコンシェルジュも常駐し、防犯カメラ、目的階のみ停止するエレベーターなどセキュリティ面でも充実している高級タワーマンション。

私はマンションに十二階に住んでいた。

都会のマンションは近所付き合いもなく、隣に誰が住んでるのか分からない程、人間関係は希薄。
仕事を終え、寝るだけの部屋だから。

私はドアを開け、部屋に入ろうとすると二室先のドアから豊が出て来た。

「えっ?」

静かな共用廊下に響く私の声。

「睦月?」

彼の方も驚き、向こうから近づいて来た。

「何で?お前が此処に居るんだ?」

「貴方こそ…何で此処に?」

「あそこが俺の部屋だ…」

「はぁ?いつから住んでるの?」

「日本に戻ってすぐだから・・・あれこれ一ヵ月半だな・・・」

私達は今までずっとお互いに同じフロアの住人だと気が付かなったよう。



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