茉莉花の花嫁
「えっ?」

意味がわからなくて、茉莉花は聞き返した。

「今つきあっている彼なんですけど、両親が共働きの家庭で育ったみたいで」

「はあ」

「特に母親は定年まで正社員として働いていたからって言うこともあったので、私も結婚したら会社を辞めずに仕事を続けてくれと彼にお願いされているんです」

「あー…」

やれやれと息を吐いた美紀に、茉莉花は何も言うことができなかった。

「正社員だし、何が起こるかわからない世の中だからと言うのはわかりますけど…でも、子供のことを考えたらと思うと…」

「…それは、難しいところですね」

目の当たりにしたばかりのその問題に、茉莉花はそう返事をすることしかできなかった。

「私、子供が小学校に入るまでは一緒にいたいと思ってるんで…」

美紀は言った。
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