茉莉花の花嫁
第3章・黒百合の呪い
話は大正時代へとさかのぼる。

日本の古い文化と外国から入ってきた新しい文化が混ざりあい、家にいることが当たり前だった女性たちも外に出て働くことが多くなった。

和食や和服から洋食や洋服と生活も変化して、政治に関心がある国民が増えて民本主義思想や社会運動が活発になった。

15年と言う短いだったけれども、活発で華やかな時代だったと思う。

その時代で過ごした清瀬俊正の家は、先祖代々から続いている貴族家系だった。

子供の頃から常に裕福で、家にはたくさんのお手伝いさんがいた。

欲しいものは両親に言えば、どんな高価なものでもすぐに買ってもらえた。

自分で言うのもおかしいが、容姿にも恵まれていた。

家柄も容姿も当たり前のように恵まれていた自分に、女性たちからの好意は常に向けられていた。
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