茉莉花の花嫁
あの頃の自分を一言で言い表すとするならば、“傲慢”であった。

自分よりも身分が低い人間は平気で見下し、自分よりも身分が高い人間には媚を売る。

何か気に入らないことがあったら弱い人間を見つけていじめたり、物に八つ当たりをして壊した。

自らの保身や見栄のためにウソをつくことは日常茶飯事と言っても過言ではなかった。

そんな自分に注意をしてくれる人間は誰もいなかった…と言うよりも、みんなが自分の傲慢な性格に呆れていたと言った方が正しいかも知れない。

子供の頃から贅沢になれ過ぎてしまったせいで当たり前になってしまったこと、両親も彼を甘やかして育ててしまったこと、さらには高い身分に家柄と恵まれた容姿と言うように、性格はひどく増してしまった。

傲慢で、わがままで、常に平気で人を見下している――それが、自分の欠点だった。
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