結婚から始めましょう。
「そうよ。結婚してしまったものは仕方がない。あなたの詳細を知られる前に離婚すれば、傷はそれほど大きくなかった。社長ぐらいの人なら、たとえバツが付いたとしても、次のお相手探しに困ることはないわ。
それなのに、あなたは堂々と顔を晒した。汚点でしかないわ」

私の存在は、邪魔っていうだけじゃなくて、汚点になってしまうの……

「最悪、子どもができる前にさっさと別れてください。手遅れになる前に。引き際を間違えずに」

それだけ言うと、私に何も言わせないまま黒田は部屋を出ていった。


「私はここにいちゃダメだったの……?」


この結婚はなんだったのだろうか。
蓮に望まれたと思ったのは、間違いだったのだろうか。
誰も、本心では望んでいなかったんだろうか。

黒田の放った一つ一つの言葉が、私の存在を全て否定する。


〝惨めな結婚だな〟


真人に言われた言葉を思い出した瞬間、この事実を受け止めきれずに意識を手放した。















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