結婚から始めましょう。
「そんなやりとりしてたら、断れなくなっちゃうじゃない」

「えっ?桃ちゃん断るの?」

「うそ。もったいない」

再びざわざわし出すお姉様方。

「いくら私が良い人だって推しても、決めるのは桃ちゃんよ。受けるも断るも桃ちゃんの自由。私の顔を立てるとか、そんなことは関係ないわ。
ただ、一度だけでいいから秋葉さんにお会いして欲しいの。彼、桃ちゃんのことを知りたくて何度も連絡してくれたわ。そこまで思ってくれるのならって、私も会ってみたのよ」

なんでも手に入れられてしまうような人が、そこまで私に執着するのだろうか?

どちらにしろ、この様子だと一度も会わないで断るのは無理そうな気がする。

「わかった。会うだけは会ってみる。でも、本当に断ることがあってもいいのよね?」

「桃ちゃんの自由よ」

「まあ、あちらから断られるかもしれないけれど」

「ううん、それはなさそうかな。彼、本当に桃ちゃんに惚れちゃったって感じだったしね」

「それって……外見だけってことじゃない」

「さあ?それはどうかしらね」

なにやら含み笑いを漏らす華子。
なんだろう、外見以外の何かあるというのだろうか?変なことをばらされてないといいけど。

「とにかく、きっかけは外見だってなんだっていいのよ。大切なのはここからよ。
早速、あちらの都合を聞いてみるわね」



行動の早い華子によって、お見合いは10日後の土曜の午後に決まった。





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