結婚から始めましょう。
「あらまあ。仲がとても良いようで」

そんな場面を、戻ってきた咲枝に目撃されてしまった。

「本当だ。いいもん見せてもらったな」

幸太郎にも……
思わず赤面してしまう私と違って、蓮は至って普通に返す。

「夫婦仲はこれ以上ないぐらい良いですよ」

「そのようだな」

幸太郎がソファーに向かい合わせに座ると、咲枝が紅茶を出してくれた。

「おじいさん、報告が遅くなりましたが、桃香と入籍しました」

開口一番に蓮が報告すると、幸太郎は嬉しそうに目を細めて頷いた。

「蓮の一目惚れだったんだって?華子さんや陽子から聞いたよ」

からかうように言う幸太郎に、蓮は少しだけ照れた表情を見せた。それに幸太郎も満足そうに頷いている。




「旦那様、お電話が入っております」

暫く話していると、咲枝から声がかかった。
どうやら仕事絡みだったようで、私たちに断りを入れると、幸太郎は一旦席を外した。

「蓮さんと幸太郎さんは、すごく仲が良いのね」

「ああ。両親以外の身内で、一番良くしてくれたのがおじいさんだから」

一瞬、寂しそうな顔を見せた蓮に、首を傾げる。

「蓮さん?」




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