冬の花
1
朝起きて窓を開けると、
雪で一面が真っ白に色付いている。


既に雪は止み朝日が射していて、
その日差しのせいかほんのり暖かく感じた。


暖かいと言っても、
今は1月後半で、床板に直に触れている爪先が痛くて寒い。


築50年以上のボロい一軒家。
すき間風が至るところから入り込み、かろうじて外より暖かいくらい。


私は朝の支度を終え、居間にある母親の仏壇の写真に手を併せ行ってきますと言うと、
チラリ、とイビキの聞こえて来る襖を睨む。


父親はまだ眠っている。


ここ最近は、殆ど仕事に行っていない。


父親は大工で、この不況や天候のせいで仕事がないと言っているが、
どうだか。


お母さんが生きていた頃は、いくらかは今より働いていたから。


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