いつまでも…片想い  若葉色
きっかけ

七海Side

 じりじりと焼けるような日差しを避け、オアシスの如く涼しいカフェに入る。

 買い求めたアイスコーヒーを片手に持ち店内を見回した。

 15時の時間帯なのに殆んど満席状態で、座れないかと心配したがちょうど2人用のテーブルが空いたので、席に着き喉を潤しホッと一息ついた。

 お盆も過ぎた土曜日に会社用のストッキングなどを買いに来るくらいで特に予定もない私、山内七海。

 彼氏がいれば 良いのだけど 22年 彼氏なし。

でも好きな人なら ………いるの。


 通勤電車で見かける人で、私の最寄り駅から二つ目の駅の隣のホームで電車を待つ彼。

毎日の繰り返しの中いつもの光景として、自然と見知っていた人だった。

 GWが過ぎたある朝 、 いつもように彼がホームに並んでいたが、近くにいたお婆さんが何か落としたらしく 、 それに気づいた彼は列から離れ一緒に拾っていた。

 電車が発車するので 私が観たのはそこまでだった。

 他の人は気付かないのか 彼だけ自然とお婆さんを助けていた優しさと行動力。

 私だったら一瞬迷ってしまうだろう。

 ‘’いつもの光景の彼 ‘’から ‘’好きな人‘’ に変わったのはその時だと思う。


 それからは毎朝見掛けるだけで嬉しくて、彼を探すのが日課になった。

 身長は男性の平均的なのだと思う。サラッとした黒髪にスーツがよく似合う爽やか系で、もしギュッと抱きしめられたらエネルギーが湧きそう。

 たまに険しい顔をしていたり、穏やかな顔だったり、表情からどんな毎日なのか想像し、心の中で "今日も頑張ってね" と手を振る。

 欲を言えば 声を掛けたいが、方向が違う電車に乗る彼とどうしたらきっかけが作れるのだろう。
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